入社手続きでは、「会社が交付して回収する書類」と「従業員(内定者)が用意して提出する書類」があり、事前に整理しておかないと手続き漏れにつながる恐れがあります。
この記事では、入社手続きで必要な書類を「会社側」「従業員側」に分けて一覧で整理し、さらに入社前から入社当日までの対応を時系列でわかりやすくまとめました。
あわせて、入社後に会社が行う保険加入や税関連の手続きについてもくわしく解説します。
このあと紹介する一覧と手順に沿って進めれば、入社手続きを抜け漏れなく進められるでしょう。
本記事でわかること
- 会社側が準備する入社手続きの必要書類一覧
- 従業員側が準備する入社手続きの必要書類一覧
- 従業員入社後に会社が行う手続きの流れと進め方
会社側が準備する入社手続きの必要書類一覧

まずは、会社側が用意し、従業員へ交付したり回収したりする主な書類を確認しましょう。
雇用契約の締結や給与の支払い手続きなど、入社前後に必要となる各種書類について、従業員への提出を求める理由とともに一覧で紹介します。
| 法的義務あり(交付義務) | |
| 労働条件通知書 | 賃金・労働時間などの労働条件を明示するため |
| 法的義務なし(手続き上必須) | |
| 給与振込申請書 | 給与口座を登録するため |
| 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 | 毎月の所得税を適切に控除するため 年末調整(1年分の税額の精算)に必要な基礎情報 |
| 健康保険被扶養者(異動)届 | 社会保険の、扶養追加・変更手続きに必要 |
| 法的義務なし(一般的に用意) | |
| 雇用契約書 | 雇用契約内容を相互に確認し、紛争を防ぐため |
| 入社誓約書 | 社内ルール遵守を誓約するため |
| 入社手続き案内 | 提出物・期限・提出方法を知らせるため |
| 必要時 | |
| 身元保証書 | 損害発生時の補填等を約束するため |
| 各種手当の支給申請書 (通勤・住宅・家族手当など) | 手当の支給額算定・支給手続きのため (該当者のみ) |

会社側が準備する必要書類の一覧を確認したところで、次は各書類の役割をくわしく紹介します!
労働条件通知書・雇用契約書
労働条件通知書は、給与や勤務時間などの労働条件を会社が文書で明示し、交付する書類です。(交付は法的義務)
条件を伝えること(通知)が目的のため、従業員の署名や押印は法的に必須ではありません。
一方、雇用契約書は、会社と従業員が労働条件に合意したことを署名・押印等で確認し、双方が1通ずつ保管する書類です。(作成は任意)
近年は、労働条件通知書と雇用契約書をひとつにまとめ、電子交付・電子署名で対応する企業も増えています。
従業員への労働条件の明示は労働基準法による義務
労働基準法第15条第1項には、「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。」と規定されています。具体的には労働基準法施行規則第5条第1項に規定されている以下の事項(1~14)を明示する必要があります。(※1)
なお、1~6(5のうち、昇給に関する事項を除く)については書面の交付(※2)により明示しなければなりません。
- 労働契約の期間に関する事項
- 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項
- 就業の場所及び従業すべき業務に関する事項
- 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時点転換に関する事項
- 賃金(退職手当及び臨時に支払われる賃金等を除く。)の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
- 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
- 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払いの方法並びに退職手当の支払いの時期に関する事項
- 臨時に支払われる賃金(退職手当を除く。)、賞与及びこれらに準ずる賃金並びに最低賃金額に関する事項
- 労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
- 安全及び衛生に関する事項
- 職業訓練に関する事項
- 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
- 表彰及び制裁に関する事項
- 休職に関する事項
※1. 2については期間の定めのある労働契約であって当該労働契約の期間の満了後に当該労働契約を更新する場合がある者の締結に限り、明示する必要があります。
また、7から14については使用者がこれらに関する定めをしない場合においては、明示する必要はありません。※2. 労働者が希望した場合は、FAXやWebメールサービス等の方法で明示することもできます。ただし、書面として出力できるものに限られます。
引用/ 厚生労働省|よくある質問|採用時に労働条件を明示しなければならないと聞きました。具体的には何を明示すればよいのでしょうか。
給与振込申請書
給与の振込先口座(銀行名・支店名・口座番号・名義など)を確認するための書類で、会社が書式を用意し、従業員に記入してもらったうえで回収します。
法律上の義務ではないものの、銀行振込を実施するためには必須の書類です。
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
年末調整を受けるために、従業員が会社へ提出する基本の申告書です。
扶養する家族の有無に関わらず提出が必要で、扶養親族等の有無や各種控除を反映し、毎月の源泉徴収税額を適切に計算するために使用されます。
| 提出した場合 | |
| ・扶養状況や各種控除が反映され、毎月の所得税が適切に計算される | |
| 未提出の場合 | |
| ・扶養状況や控除が反映されず、源泉徴収税額が高くなる可能性がある ・年末調整ができないことがある |
健康保険被扶養者(異動)届
入社に伴い、健康保険(協会けんぽ・健保組合)で「家族を扶養に入れる」ための申請が必要な場合に、会社を通じて提出する届出書類です。
配偶者・子などの扶養状況がある従業員は、入社手続きの一環として本書類を提出し、扶養認定が完了すると扶養家族分の資格情報の反映が行われます。
入社誓約書
入社意思や服務規律(就業規則の遵守・秘密保持など)を確認するための書類で、内定者の署名・捺印後に回収します。
法定の必須書類ではありませんが、入社時の認識合わせやトラブル予防のために取得するのが一般的です。
入社手続き案内
入社時に従業員が「いつまでに」「何を」「どの方法で」提出・対応すべきかを一覧化した案内文書で、会社が作成して配布します。
入社手続きに必要となる提出物(各種書類・情報)の提出期限と、提出方法(郵送/持参/Web)を明確にし、あわせて入社初日の持ち物や集合場所・時間、緊急連絡先などの実務情報も明記します。
法定書類そのものではありませんが、手続きの漏れ・遅れを防ぎ、給与計算や社会保険・雇用保険の加入を期日どおりに進めるために、一般的に用意されることの多い文書です。
身元保証書
会社によっては、入社時に身元保証書の提出を求めることがあります。
従業員が故意または重大な過失で会社に損害を与えた場合に備え、保証人との取り決めを文書化する目的で用いられます。
書面上では、保証期間や責任範囲などを明確にします。
各種手当の支給申請書
通勤手当・住宅手当・家族手当・資格手当などの支給額算定・支給手続きに必要な書類です。
会社が書式を用意し、該当する従業員に記入してもらって回収します。
従業員側が準備する入社手続きの必要書類一覧

続いて、従業員(内定者)が入社にあたり準備・提出する主な書類を、求められる理由と共に一覧で紹介します。
社会保険や税金の手続きに不可欠な書類も含まれるため、事前に確認して早めに準備しておくと、入社手続きがスムーズに進みます。
| 全従業員(手続き上必須) | |
| 基礎年金番号がわかるもの(年金手帳等) | 社会保険の手続きに必要 |
| マイナンバー(個人番号) | 社会保険・労働保険・税務手続きに必要 |
| 全従業員(求められることがある) | |
| 住民票記載事項証明書 | 身元・住所等の確認 |
| 転職者(手続き上必須) | |
| 雇用保険被保険者証 | 雇用保険の加入手続きに必要 |
| 転職者・新卒者(年末調整をする場合) | |
| 前職の源泉徴収票 | 年末調整で所得を通算するため 新卒者は入社年の1月以降にアルバイトをしていた場合必須 |
| 新卒者(求められることがある) | |
| 卒業証明書 | 履歴書や申告内容の事実確認(裏付け)を行うため |
| 成績証明書 | 単位不足による入社トラブルを防ぐため 配属・要件等を確認するため |
| 必要時 | |
| 雇入れ時健康診断書 | 労働安全衛生上の確認のため |
| 免許・資格関連の証明書 | 業務要件の確認(運転免許・資格職など) |
| 退職証明書 | 経歴(業務内容)の証明 退職日や退職理由等の確認 |

従業員側が準備する必要書類の一覧を確認したところで、次は各書類の役割をくわしく紹介します!
基礎年金番号がわかるもの(年金手帳等)
社会保険(厚生年金)の加入手続きに基礎年金番号が必要となるため、確認できる書類(年金手帳、基礎年金番号通知書、ねんきん定期便等)を準備しましょう。
年金手帳や基礎年金番号通知書等を紛失した場合の再発行・照会方法
まず、基礎年金番号が不明な場合は、以下のいずれかで確認してみましょう。
| オンライン(スマートフォン等)で確認する方法 |
| マイナポータルで確認する(マイナンバーカードを利用して、マイナポータルにログイン) |
| ねんきんネットで確認する(利用登録が必要な場合あり) |
| 手元の書類で確認する方法 |
| 国民年金保険料の口座振替額通知書 |
| 国民年金保険料の納付書や領収書 |
| 年金証書 |
| 各種通知書等(年金額改定通知書、年金振込通知書等) |
基礎年金番号通知書(または年金手帳)を紛失・き損した場合は、年金事務所等の窓口、郵送、電子申請で「基礎年金番号通知書再交付申請」を行うことで再交付を申請できます。
たとえば、「被保険者本人が、事業主を経由せず年金事務所へ直接申請し、申請書に個人番号(マイナンバー)を記載する場合」は、本人確認書類の提示(または写しの提出)が必要です。
具体的には、次のいずれかを準備しましょう。
| マイナンバーカード(1枚で完結) |
| ↑個人番号の確認と身元確認を同時に行える |
| マイナンバーカードがない場合(A+Bの2種類) |
| A. マイナンバーが確認できる書類 |
| 個人番号の表示がある住民票の写し、通知カード(氏名、住所等が住民票の記載と一致する場合に限る) |
| B. 身元(実存)確認書類 |
| 運転免許証、パスポート、在留カードなど |
マイナンバー(個人番号)
個人番号は、社会保険・雇用保険および税務関連の手続きにおいて、会社が行政機関へ提出する書類に記載が必要となります。
マイナンバーカードや個人番号が記載された住民票の写し等、番号が確認できるものを準備しましょう。
あわせて、従業員のマイナンバーを行政機関へ提出するにあたり、「利用目的通知(または利用同意書等)」を別途提出してもらう企業も増えています。
会社側のマイナンバーの取り扱い(取得→利用→保管→提供→廃棄)については、本記事終盤の「マイナンバーの取り扱いルール」で解説していますので、あわせてご確認ください。
住民票記載事項証明書
現住所や氏名、生年月日などの確認資料として提出を求められることがある書類です。
あわせて、通勤手当の確認や、社宅・扶養関連手続きの添付資料として使用される場合もあります。
なお、提出目的によっては個人情報保護の観点から、本籍・続柄・マイナンバーの記載を省略するよう指定されるケースも増えています。
発行時にこれらの記載有無を選べることが多いため、会社の案内に従って必要な項目だけが載ったものを取得しましょう。
雇用保険被保険者証
すでに雇用保険に加入したことがある人で、入社時に加入手続きを行う場合に必要になる書類です。
通常、前の会社を退職する際に発行され、その雇用保険被保険者証に記載されている被保険者番号を引き続き利用します。
雇用保険被保険者証を紛失した場合の再発行・照会方法
雇用保険被保険者証を紛失・き損した場合は、ハローワークの窓口持参・郵送・電子申請で「雇用保険被保険者証再交付申請書」を提出し、再交付を申請します。
たとえば、「被保険者本人がハローワークへ直接申請する場合」は、本人確認書類の提示(または写しの提出)が必要です。
具体的には、次の書類を準備しましょう。
| 次のいずれか1種類 |
| マイナンバーカード |
| 運転免許証 |
| 官公庁発行の身分証明書(写真付き) |
| 上記の書類がない場合は次のうち異なる2種類 |
| 住民票 |
| 健康保険被保険者証 |
| 個人番号通知カード |
前職の源泉徴収票
同一年内に前職の給与がある場合、年末調整では現職分と前職分の給与・源泉徴収税額を合算して、1年間の所得税を正しく精算する必要があります。
そのため、前職(同一年内に複数社ある場合は各社分)の源泉徴収票の提出が必要です。
年末調整を会社で行う場合は、原則として年末調整時までに提出しましょう。
新卒者でもアルバイト等で給与収入がある場合は提出が必要となることがあります。
卒業証明書
最終学歴の事実確認(裏付け)や、学歴を要件とする職種・社内規程(学歴手当等)の確認のために提出を求める場合があります。
成績証明書
内定後〜入社手続きの段階で、卒業要件(必要単位の取得状況)を満たしているかを確認し、単位不足による卒業延期・入社時期の変更などのトラブルを防ぐために提出を求めることがあります。
あわせて、職種・配属に関する要件(専攻、履修科目等)の確認として使用する場合があります。
雇入れ時健康診断書
法令・会社規程に基づき、入社時の健康状態を確認するために健康診断の受診(または結果票の提出)が必要となる場合があります。(原則3ヶ月以内に発行されたもの)
会社指定の医療機関・項目・期限があることがあるため、案内に沿って準備しましょう。
免許・資格関連の証明書
業務上必要な免許・資格(例:運転免許、医療・建設系資格、語学資格等)を保有している場合、資格手当の適用や就業要件の確認のため、写しや証明書の提出を求めることがあります。
有効期限・更新状況もあわせて確認されます。
退職証明書
前職の退職日や退職理由、経歴確認等が必要な場合に提出を求めることがあります。
必要となるケースや記載項目は会社の運用により異なります。
【会社側】入社前〜入社当日までの手続きの流れ(従業員対応ポイント付き)

入社手続きは、入社前の準備から入社当日の対応まで、段階的に進めていく必要があります。
ここでは、会社側の動きを時系列で整理しつつ、各段階で従業員に依頼・確認すべき事項をあわせて示します。
ステップ1. 入社前に会社が行う手続き
入社前といってもやるべきことはたくさんあります。
どのような手続きや準備が必要なのか、順を追って確認していきましょう。
内定直後
内定通知とあわせて、入社誓約書(内定承諾書)を送付し、返送期限を設けて回収します。
同時に労働条件通知書を交付し、必要に応じて雇用契約書も送付します。
入社手続きに必要な提出書類を同封し、提出物・期限・提出方法(郵送/Web/当日持参)を文書で案内します。
入社日やオリエンテーション日程が決まっている場合は、この時点で通知しましょう。
従業員対応ポイント
| 入社誓約書(内定承諾書)の返送 |
| 提出書類の準備・記入 |
| 提出期限と提出方法の遵守(郵送/Web/当日持参) |
| 入社日・集合時間・持ち物の確認 |
入社前日まで
入社日までに、PCやメールアカウントの発行、勤怠システム設定、入館証や備品の準備を進めます。
また、入社日やオリエンテーション予定、初日の業務内容を関連部署で共有し、スムーズに受け入れられる体制を整えます。
内定直後に依頼した書類の提出状況や内容は必ず確認し、未提出や不備がある場合は個別にリマインドを行いましょう。
ステップ2. 入社日に会社が行う手続き
入社当日は慌ただしくなりやすいですが、忙しい中でも漏れなく着実に進めることが重要です。
オリエンテーション
入社初日は、就業規則や社内ルールの説明、情報セキュリティ教育、勤怠管理の方法など、業務をはじめるうえで必要なオリエンテーションを行います。(入社日前に行うこともある)
あわせて、担当業務の説明、社内連絡ツールの使い方などを案内することが一般的です。
従業員対応ポイント
| 受講(参加)と理解確認 |
| 必要に応じた同意・誓約への署名 |
| 勤怠・連絡ツール等の利用開始 ※初回設定の実施を含む |
提出書類の確認・回収
提出書類を回収し、不足や記入漏れがないかその場で確認します。
不備があると社会保険・給与処理に影響するため、差し戻しや追提出の導線も整えておきましょう。
従業員対応ポイント
| 未提出書類の提出 |
| 記入漏れの修正 |
| 必要に応じた追加情報の提出 ※追提出期限の確認を含む |
備品の支給
入社当日は、社員証、制服、セキュリティカード、名刺などの備品を支給します。
受領サインの取得や、利用方法・管理ルール(入退館方法、紛失時の連絡先等)の説明もあわせて行います。
従業員対応ポイント
| 備品の受領確認(サイン等) |
| 利用ルールの遵守 |
| 紛失・破損時の連絡手順の確認 |
従業員入社後に会社が行う手続きの流れと進め方

ここからは、入社時に提出してもらった書類をもとに、会社側が行う手続きをステップ順に整理して解説します。
年金事務所やハローワークなど外部機関への届出・申請に加え、法定三帳簿の作成など社内で必要な対応もあわせて確認しましょう。
書類や手続きには期限があるため、以下の流れで速やかに対応します。
ステップ1. 従業員に関する帳簿(法定三帳簿)を作成
従業員が入社したら、まず「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」のいわゆる「法定三帳簿」を作成します。
これらは労働基準法により作成が義務づけられており、雇用保険の手続きでも確認や提示が求められることがあるため、入社後すぐに整備するとスムーズです。
| 労働者名簿 |
| 氏名、生年月日、性別、住所、雇入れ年月日、業務の種類など |
| 賃金台帳 |
| 賃金計算期間、労働日数、労働時間数、基本給・手当、控除額など |
| 出勤簿 |
| 出勤日、始業・終業時刻、休憩時間、時間外労働など |
ステップ2. 社会保険の資格取得(健康保険・厚生年金)
従業員が社会保険の加入対象となる場合は、会社が健康保険・厚生年金保険の資格取得手続きを行わなければなりません。
社会保険(狭義の場合)は、健康保険と厚生年金から成ります。
社会保険の適用事業所(※1)は、法人・個人、および従業員数や事業内容(業種)により、強制適用(加入が義務)と任意適用(申請により加入)に分かれます。

原則として、法人の事業所(株式会社・有限会社・一般社団法人など)は、業種や従業員数を問わず強制適用です。
強制適用事業所に勤務する従業員のうち、次のいずれかに該当する人(※2)は、原則として被保険者(加入対象)となります。
社会保険の加入要件(※2)
| 週の所定労働時間および月の所定労働日数が、正社員の4分の3以上の従業員 |
上記に満たない場合でも、いわゆる短時間労働者として加入対象となるケースは以下の通りです。
| 厚生年金保険の被保険者が常時51人以上の企業の場合で、1~4のすべての要件に該当する従業員 1. 週の所定労働時間が20時間以上 2. 雇用期間が2ヶ月超を見込まれる 3. 月額賃金8.8万円以上 4. 学生(夜間学生除く)でない |
加入手続きは、健康保険(および介護保険)と厚生年金保険の原則セットで行います。
マイナンバー(個人番号)または基礎年金番号がわかる書類(年金手帳や基礎年金番号通知書等)を確認のうえ、「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を作成し、日本年金機構もしくは加入している健康保険に、入社日から5日以内に提出します。
| 提出書類 | 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届 | |
| 提出期限 | 入社日から5日以内 | |
| 提出先・提出方法 | 日本年金機構の場合 | 管轄の年金事務所(持参) |
| 日本年金機構の事務センター(郵送) | ||
| 電子申請(e-Gov等) | ||
| 健康保険組合の場合 | 直接提出(持参または郵送) | |
被扶養者がいるときの手続き
従業員に配偶者・子などの被扶養者がいる場合は、社会保険の資格取得手続きとあわせて、扶養認定(被扶養者の追加)の申請が必要です。
会社は、従業員から提出された「健康保険被扶養者(異動)届」を受領し、協会けんぽ/健保組合(保険者)へ提出します。
保険者は、収入要件などの扶養要件を満たすかを審査し、認定されると被扶養者として登録されます。
手続きは所定の期限・運用に従って速やかな対応が必要なため、実務上重要な書類です。(続柄確認・収入確認・住民票等の添付書類を求められることがあります)
添付書類や判定基準は、被扶養者の状況や加入している協会けんぽ・健保組合により異なります。
事前に日本年金機構および加入保険者の案内で確認しておくと安心です。
| 提出書類 | 健康保険被扶養者(異動)届 | |
| 提出期限 | 入社日から5日以内 | |
| 提出先・提出方法 | 日本年金機構の場合 | 管轄の年金事務所(持参) |
| 日本年金機構の事務センター(郵送) | ||
| 電子申請(e-Gov等) | ||
| 健康保険組合の場合 | 直接提出(持参または郵送) | |
| 添付書類 ※状況により必要 | 続柄確認書類・・・(例)住民票など 収入確認書類・・・(例)課税証明書・給与明細・雇用契約書など ※届書にマイナンバーを記載することで、添付書類を省略できることも | |
ステップ3. 労働保険(雇用保険・労災保険)の資格取得手続き
労働保険は、雇用保険と労災保険から成ります。
入社時は、雇用保険の加入要件に該当する従業員について資格取得手続きを行い、労災保険は事業所として未成立の場合のみ手続きを行います。
雇用保険
雇用保険の適用事業所(※3)に該当する事業所で、入社した従業員が雇用保険の加入要件(※4)を満たす場合は、管轄のハローワークへ「雇用保険被保険者資格取得届」を入社日の翌月10日までに提出します。

参照/ 厚生労働省|雇用保険事務手続きの手引き【第1編】適用事業所編【令和7年8月版】第1章雇用保険の適用について
雇用保険の加入要件(※4)
| ・1週間の所定労働時間が20時間以上であるとき |
| ・31日以上、引き続き雇用される見込みのあること |
届出には雇用保険被保険者番号のほか、マイナンバー(個人番号)の記載が求められます。
転職者で、前の会社で雇用保険に加入していた従業員は、所持している「雇用保険被保険者証」の被保険者番号を引き続き使用します。
※代表取締役など事業主本人は、原則として雇用保険の被保険者にはなりません。
| 提出書類 | 雇用保険被保険者資格取得届 | |
| 提出期限 | 入社日の翌月10日まで | |
| 提出先・提出方法 | ハローワーク | 持参 |
| 郵送 | ||
| 電子申請 (e-Gov等) | ||
労災保険
労災保険は、原則として労働者を1人でも雇用している事業所で適用されます。
すでに事業所として労災保険が成立していれば、通常は従業員ごとの資格取得手続きは不要です。
会社設立直後などで未成立の場合は、管轄の労働基準監督署で労災保険の成立手続きを行います。
参照/ 厚生労働省|労災補償
ステップ4. 所得税の手続き
入社後、会社は従業員の給与から所得税を源泉徴収し、適切に納付しなければなりません。
源泉徴収した所得税は、原則として徴収した月の翌月10日までに納付します。
源泉徴収税額は、従業員から提出された「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に記載された扶養状況などをもとに決定します。(扶養家族の有無などによって税額は変動)
また、年末調整や源泉徴収票の作成・交付を適切に行うため「源泉徴収簿」を作成し、毎月の給与額や社会保険料、源泉所得税などを記録・管理しましょう。
ステップ5. 住民税の手続き
住民税は前年所得をもとに自治体が税額を決定し、原則として1月1日時点の住所地の自治体に納めます。
納付方法には、特別徴収(給与天引き)と普通徴収(本人納付)があり、会社員は原則として特別徴収です。
入社時に確認すること(例)
| 入社時点の住民税の徴収方法 |
| 特別徴収/普通徴収 |
| 課税自治体 |
| 原則としてその年の1月1日時点の住所地 |
| 書類の有無 |
| 特別徴収税額通知書(特別徴収)/納付書(普通徴収) など |
ケース別主な手続き・書類
| 前職で特別徴収 → 入社後も特別徴収を継続する場合 | |
| 手続き | 特別徴収の引継ぎ |
| 書類 | 各自治体所定の特別徴収切替届出(申請)書など ※名称は自治体により異なります |
| 普通徴収 → 入社後に特別徴収へ切替する場合 | |
| 手続き | 普通徴収から特別徴収への切替申請 |
| 書類 | 各自治体所定の特別徴収切替届出(申請)書など ※名称は自治体により異なります |
提出先・提出方法
| 提出先 | 従業員の1月1日時点の住所地の市区町村(課税自治体) |
| 提出方法 | 郵送/窓口 ※電子的手続きの可否は自治体により異なる |
参照/ 総務省|個人住民税
マイナンバーの取り扱いルール|取得→利用→保管→提供→廃棄まで

マイナンバー(個人番号)は、特定個人情報として厳格なルールのもとで取り扱う必要がある情報です。
会社は、取得から廃棄までの社内ルールを整え、適切に運用する必要があります。
マイナンバーを管理するうえでの注意点
入社手続きでは、社会保険や税の届出等にマイナンバーの記載が必要です。
そのため、会社は従業員からマイナンバーを取得し、届出書類へ利用(記入)したうえで官公庁等へ提供(提出)します。
また、次回利用までの間は厳重に保存(保管)し、退職等により利用目的がなくなった場合は速やかに廃棄・削除しなければなりません。
各場面での主な注意点は以下のとおりです。
取得するうえでの注意点
会社が従業員のマイナンバーを取得する際は、利用目的を明確に伝えるとともに、なりすまし防止のため厳格な本人確認を行います。
番号確認
| マイナンバーカード、住民票の写し(マイナンバー記載)など |
利用するうえでの注意点
マイナンバーは、法令で認められた事務(社会保障・税・災害対策)以外には利用できません。
利用できる主な事務例
| 給与所得・退職所得の源泉徴収票の作成事務 | |
| 地方税に関する事務 | |
| 雇用保険の届け出事務 | |
| 健康保険・厚生年金保険の届出事務 など |
提供するうえでの注意点
マイナンバーは、番号法で認められた場合を除き、本人の同意があっても第三者へ提供できません。
外部委託先に取り扱いを委ねる場合も、委託先の管理体制を確認したうえで、契約等により適切な安全管理措置が求められます。
保存(保管)するうえでの注意点
漏えい・滅失・毀損等を防ぐため、取り扱い担当者や閲覧権限を必要最小限とするなどし、安全に管理できる体制を整えましょう。
廃棄・削除するうえでの注意点
退職等により利用目的がなくなり不要となった場合は、速やかに廃棄・削除します。
廃棄・削除の際は、復元できない方法を用いるなど、安全管理措置を徹底しましょう。
参照/ デジタル庁|よくある質問:民間事業者における取扱いについて
マイナンバーの安全管理措置とは
会社がマイナンバーを適切に取り扱えるよう、個人情報保護委員会のガイドラインにより、安全管理措置の考え方や具体例が示されています。
代表的な例は以下のとおりです。
| 組織的措置 |
| ・取扱担当者を定め、役割と責任を明確にする ・取扱い状況が分かる記録(ログ・台帳等)を残す |
| 人的措置 |
| ・取扱担当者へ定期的な研修を実施する ・秘密保持や懲戒等を就業規則や誓約書等で明確にする |
| 物理的措置 |
| ・書類や記録媒体は施錠できるキャビネットなどに保存 ・PCの持ち出し制限、盗難防止(ワイヤーロック等) ・書類はシュレッダー等で復元不能にして廃棄する ・電子データは専用ソフト等で完全に削除する |
| 技術的措置 |
| ・マイナンバーを取り扱うPCやシステムを限定する ・ID/パスワード等で担当者のみアクセス可にする ・ファイアウォールなどで外部からの不正アクセスを防ぐ など |
入社手続きQ&A|よくあるトラブル・対処法

最後に、入社手続き時のトラブルや・対処法をQ&A形式でわかりやすくまとめました。
- 入社手続き中に連絡がつかない/返事がないときは?
-
会社側:対応のポイント
連絡がない場合でも、すぐに内定辞退と判断せず、期限を切って複数手段で確認しましょう。まずメールで返信期限を明記して連絡し、反応がなければ電話・メール再送・SMS/チャット等に切り替えます。
連絡履歴(日時/担当/手段/内容)は記録し、最終期限を示したうえで社内フローに沿って対応します。
従業員側:対応のポイント
書面やメールの見落としや、そもそも入社を迷っている等があれば早めに連絡し、提出・回答の期限を具体的に伝えましょう。連絡先変更や迷惑メール設定も確認します。
- 社会保険・雇用保険の手続きが遅れたらどうリカバリーしますか?
-
会社側:対応のポイント
まず、年金事務所/ハローワーク等の提出状況・処理状況(どこまで進んでいるか)を確認し、手続きが止まっている箇所を特定します。そのうえで、遅延理由(未提出・書類不備・委託先の処理遅れ・本人回答待ち等)を切り分け、必要に応じて提出・補正・委託先への再依頼を至急行います。
あわせて従業員には影響範囲(健康保険の加入、扶養の手続き、受診時の立替払い/払い戻し等)と当面の対応を説明し、再発防止として回収期限・チェックリスト・フォロー手順を整備しましょう。
従業員への依頼(必要に応じて)
不足書類や追加確認がある場合は、提出期限を明示して協力を依頼します。受診予定や扶養・住所変更など影響が出る予定があれば、早めに共有してもらいます。 - 入社手続きに必要な書類が揃わないときはどうしますか?
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会社側:対応のポイント
指定した日までに揃わない書類がある場合は、手続きへの影響度を整理し、必要に応じて暫定対応(取得予定日の申告・写し提出等)で進めます。あわせて、提出期限日をすりあわせましょう。
再発行が必要な場合は、手続き先の連絡先と手順も共有します。
従業員側:対応のポイント
入手予定日を具体的に連絡し、遅延や紛失があれば早めに提出見込みや、再発行の手配を行います。住所変更などの変更事項も速やかに共有しましょう。
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入社手続きの必要書類|会社と従業員で進めるスムーズな準備

入社手続きで必要となる書類は、会社や従業員の状況によって異なりますが、社会保険・雇用保険・給与計算などの各種手続きを正確かつ円滑に進めるために欠かせません。
提出漏れや記載不備があると、保険加入や税金関連の処理に影響が生じる可能性もあるため、会社側は必要書類や提出期限、記入方法を事前に分かりやすく案内することが大切です。
従業員側も、あらかじめ必要事項を確認したうえで、指定された期限までに不備なく準備・提出するよう心がけましょう。
会社側・従業員側の双方が適切に準備を進めることで、入社手続きをスムーズに進めやすくなります。
エリアと条件から仕事を探す
- 労働基準法|(昭和22年法律第49号)第15条第1項(e-Gov法令検索)
- 厚生労働省|よくある質問|採用時に労働条件を明示しなければならないと聞きました。具体的には何を明示すればよいのでしょうか。
- 日本年金機構|基礎年金番号通知書の再交付を受けようとするときの詳細説明
- 千葉労働局|雇用保険被保険者証の再交付について
- 宮古労働基準監督署|労働関係法令上の帳簿等の種類と保存期間について(簡易版)
- 厚生労働省|社会保険の加入対象の拡大について
- 日本年金機構|従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き
- 厚生労働省|雇用保険事務手続きの手引き【第1編】適用事業所編【令和7年8月版】第1章雇用保険の適用について
- 厚生労働省|雇用保険に加入していますか
- 厚生労働省|労災補償
- 国税庁| 事業主がしなければならない源泉徴収
- 総務省|個人住民税
- デジタル庁|よくある質問:民間事業者における取扱いについて
- 個人情報保護委員会|特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)








