30代になると、仕事に対する価値観が変わり、新しいキャリアに挑戦したいと考える方も多いのではないでしょうか?
しかし、「未経験分野への転職は難しそう」「転職活動をどう進めたら良いのかわからない」と不安を抱える方も少なくありません。
本記事では、30代で未経験の仕事に転職するための具体的な方法や成功のポイントを詳しく解説します。
さらに、厚生労働省の調査データに基づき、30代が転職を検討する理由や、未経験分野への転職が難しい背景についても触れていきます。
新たなキャリアに挑戦したいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
30代の転職の現状!動向とその背景を解説

厚生労働省の『令和4年雇用動向調査結果の概要』では、令和4年の1年間で転職した人が、どのような理由で前職を離職したのかを明らかにしています。
30~34歳および35~39歳の調査データをもとに、男女別の平均を算出したところ、個人的な転職理由で最も多かったのは「労働条件の不満」でした。
具体的には、男性の13.05%、女性の12.85%がこれを理由に挙げており、労働時間や給与、福利厚生への不満が大きな要因となっているようです。
男性の転職理由として特徴的なのは、「会社の将来性への不安(12.5%)」で、この先の職業人生に安定を求める傾向が強いことがうかがい知れます。
次いで、「収入の少なさ(10.85%)」も男性の転職理由として上位に挙げられています。
30代は、人によっては家庭を持ったり、住宅購入を検討したりする時期でもあるため、これらの要因が収入アップを目的とした転職を後押しする一因とも考えられるでしょう。
女性の転職理由では「職場の人間関係(12.2%)」が二番目に多く、いかに職場環境の快適さを重視しているかが見て取れます。
また、「結婚・出産・育児(6.3%)」といったライフイベントも女性特有の転職動機となっており、結婚や出産を機に働き方を見直したり、育児と両立できる職場を求めて転職したりする女性が多いのも特徴です。
30代は、男女ともにキャリアの岐路に立ち「キャリアの再構築」を考える時期と言えます。
転職理由はさまざまですが、共通するのは「この先より良いキャリアを築きたい」という願いです。
このようなことから、30代の転職は、単なるキャリアチェンジではなく、将来を見据えた積極的なステップアップと言えるのではないでしょうか。
30代で未経験分野への転職が厳しい理由を企業視点で解説

新たな道を模索すると言っても方向性は人それぞれで、キャリアアップを目指し同じ業界でステップアップを狙う方もいれば、今までとは全く異なる業種や職種に挑戦しようとする方も少なくありません。
しかし、30代で今まで働いてきた業界と全く異なる未経験分野に転職することは予想以上に厳しい現実があるのです。
では、なぜその挑戦が難しいとされるのか、企業視点で探ってみましょう。
即戦力を求めるから
企業が中途採用を行う主な理由は、即戦力となる人材の補充や専門的なスキルの獲得にあります。
厚生労働省の『令和2年転職者実態調査の概況』によると、企業が採用を決める理由として、6職種の平均で55.3%が「経験を活かして即戦力になるから」、続いて28.1%が「専門知識や能力があるから」と回答しており、多くの企業が実績やスキルを重視していることがわかります。
一方で、新卒採用は未経験者を前提とし、企業はポテンシャルや将来性を評価して育成することが一般的です。
しかし、30代の転職市場ではポテンシャルよりも実績が重視される傾向があり、そのため未経験分野への転職が難しくなります。
また、厚生労働省の『企業等の採用手法に関する調査研究報告書』によると、中途採用では配属先が明確に決まっていることが多く、そのポジションで戦力として活躍できるスキルが求められるため、未経験者は競争の中で不利な立場に置かれやすいのです。
以上のことから、30代での未経験分野への転職は、企業が求める「即戦力」というニーズと一致しにくいことが理由で、難易度が高くなると言えるでしょう。
未経験者向けの求人枠を抑制しているから
30代で未経験の職種や業種に転職するのが難しい理由のひとつに、未経験を対象とした求人自体が限られている点が挙げられます。
企業は30代以上の中途採用において、育成よりも「短期間で成果を出せる人材」を求める傾向が強く、未経験者を一から育てるコストや時間を極力避けたいと考えます。
さらに、未経験者の場合、「業界や業務への適応に時間がかかる」「既存社員と比べて知識やスキルのギャップが生じやすい」「成果を確実に出せるか不透明である」といったリスクも伴うため、企業は未経験者向けの求人枠を抑制しがちです。
このため、30代で未経験分野のポジションを見つけることが一層難しくなると言えるでしょう。
30代で未経験の職種や業種に転職するには?

前述のとおり30代で未経験分野に転職する難易度が高いのは事実ですが、ポイントを押さえることで成功の可能性を広げることができます。
ここでは、未経験分野に挑戦する際の具体的なステップや戦略をみていきましょう。
ポータブルスキルを活かす
未経験の分野で転職を成功させるためには、まず自分の「ポータブルスキル」を見つけ、それが活かせる職種を検討することが重要と言えます。
ポータブルスキルとは、特定の業界や職種にとどまらず、さまざまな分野で役立つ汎用性の高いスキルのことを指し、専門的な知識や技術以外にも、幅広く応用できる能力が含まれるのです。
例えば、次のようなスキルがポータブルスキルにあたります。
コミュニケーション能力 | 問題解決力 |
リーダーシップ | マネジメント能力 |
情報収集力 | 課題設定力 |
これらのスキルは、どの業界でも評価されるものです。
面接では、過去の業務でポータブルスキルをどのように活用してきたか、具体的なエピソードを交えながら説明することで、未経験でも企業にとって魅力的な人材であることをアピールできます。
また、こうしたスキルを用いて今後どのように貢献できるかを明確に伝えることが、転職成功のカギとなるでしょう。
ポータブルスキルを可視化するツールのご紹介
厚生労働省ではポータブルスキルを可視化できるツールを提供しています。
このツールは、いくつかの質問に答えて自己評価を行う形式で、最終的な合計得点により利用者自身の持ち味を生かせる職務や職位を提示してくれるというものです。
このツールを使って振り返りを行うことで、あなたの強みやスキルを再確認し、未経験分野への転職に向けて自信を持ってアプローチできるようになるでしょう。
所要時間は15分ほどで、手軽に自己診断が可能です。
自身の適性を把握し、次のキャリアステップに役立ててみてください。
人材不足の業界に応募する
現在、日本では少子高齢化や人口減少の影響で、多くの企業が人材不足に直面しています。
このため、経験者だけでなく未経験者に対しても採用の間口が広がる傾向にあるのです。
特に、介護職やホテル業界などのサービス業や、建設業などでは、慢性的な人材不足が課題となっており、30代でも未経験者を歓迎する企業が増えつつあります。
ただし、このような業界での転職は、未経験であっても早い段階で学習意欲や適応力を見せることが重要です。
短期間で基礎スキルを習得し、業界の期待に応える姿勢を示すことで、転職後のキャリアも開けてくるでしょう。
資格取得など自身のスキルアップに取り組む
未経験分野での転職成功の鍵は、学習意欲や新しい知識を積極的に吸収する姿勢にあります。
30代での転職では、「学び直し」が一つのテーマとなり、自身でどれだけ事前に勉強を重ねられるかが評価されるポイントとなるでしょう。
オンラインコースや資格取得を通じて、新しいスキルを身につけることは転職活動において大きな武器となり得るのです。
例えば、ITやデジタルマーケティングといった分野では、未経験者でも学ぶ機会が豊富であり、短期間で成果を出しやすいとされています。
自身のキャリアや目標に合わせて必要なスキルを計画的に学んでおくことで、企業からも高く評価されるでしょう。
長期的に働く意欲を伝える
30代の転職で未経験分野に挑戦する際、採用担当者に「定着意欲」や「企業への貢献の可能性」を感じさせることが重要です。
ただ「長く働きたい」と伝えるだけでは曖昧な印象を与えてしまうため、なぜその企業で長期的に働きたいのかを具体的に説明する必要があります。
まず、応募企業の特徴やビジョンに共感している点を示しましょう。
たとえば、その企業の事業や理念が自身の価値観と一致していることを述べることで、企業側も「自社で長く活躍してもらえそうだ」と感じやすくなります。
大事なのは、志望動機が企業固有であることです。
企業の採用情報や事業への取り組みをしっかり調べた上で、自分がどのように共感し、なぜその企業で働き続けたいのかを述べることで、「この企業で長期的に働きたい」という意欲がより説得力を持って伝わるでしょう。
30代で未経験分野へ転職するための4つの事前準備

30代で未経験分野への転職は大きな決断ですが、しっかりと準備を重ねることで成功への道が開けるでしょう。
ここでは、転職を成功させるための事前準備を4つご紹介します。
あなたの強みを明確にする
これまでの経験で培ったスキルや強みを棚卸ししましょう。
一見関係ないように思える経験も、新たな視点から捉え直すと、転職先の仕事に活かせる可能性があります。
自己分析を通じて、あなたの強みを具体的に言語化し、それがどのように新しい仕事に貢献できるのかを明確にしましょう。
キャリアプランを具体化する
キャリアプランとは、将来どのような働き方やポジションを目指すのかを明確にし、それに向けて必要なスキルや経験を積むための行動計画を立てることを指します。
30代は、人によっては結婚や出産、住宅購入などが視野に入る時期です。
これらのライフイベントを考慮した中長期的な目標設定が、転職活動の成功に大きな影響を及ぼすでしょう。
たとえば、「育児と仕事を両立したい」といったライフステージに合わせた目標があれば、柔軟な働き方や育児支援制度が整っている企業を優先することができます。
明確なビジョンを持つことで、転職活動の軸がぶれずに進み、結果として成功に繋がりやすくなるのです。
転職の理由から譲れない条件を確認する
転職を考えた理由を振り返り、その中で絶対に譲れない条件を明確にしましょう。
条件をはっきりさせることで、自分に合った求人を効率的に絞り込むことができます。
たとえば、給与、勤務地、働き方の柔軟性など、優先順位をつけることで、適切な企業選びがしやすくなるでしょう。
一方で、30代未経験職への転職活動では、条件を広げすぎると転職の選択肢が狭まってしまうため、「必須条件」「不要な条件」をしっかり分けて整理することが大事です。
面接対策として企業研究を徹底する
面接対策として、企業のホームページや採用サイトなどから、事業内容や社風、求める人物像をしっかりリサーチしておくことが大切です。
企業がどのような人物を求めていのるかを理解し、あなたの経験やスキルがどのように企業に貢献できるのかを明確にしておくと良いでしょう。
事前に企業について知っておくことで、面接での質問に的確に答えることができ、面接を有利に進めることが可能になります。
30代未経験者が転職する際に注意すべき3つのポイント

30代で未経験分野に転職する際には、想定外の課題に直面することもあります。
ここでは、転職活動をスムーズに進めるために押さえておきたい3つの注意点を解説していきます。
事前に確認しておくことで、転職後のミスマッチを防ぎ、安心して新たなキャリアをスタートできるでしょう。
転職活動が長期化することを考慮する
30代からの転職は長期化することも考えられるため、現職を続けながら転職活動の準備を進めることをおすすめします。
離職してからの転職活動は時間に余裕がある反面、経済的なプレッシャーから焦りが生じ、妥協して転職先を決めてしまうリスクもあります。
その結果、転職先とのミスマッチが生まれることもあるため、計画的に進めることが重要です。
以下に、在職中に転職活動を行う際のメリットとデメリットをまとめましたので、参考にしてみてください。
在職中に転職活動を行うメリット |
・収入が途切れないため、経済的な不安を抱えずにすむ |
・職歴に空白の期間ができない |
・必要に応じて現職にとどまる選択肢が残る |
・保険や税金の手続きを自身で行う必要がない |
在職中に転職活動を行うデメリット |
・企業の下調べや履歴書作成、面接など、現職と並行しながらの転職活動はハードスケジュールになりやすい |
・有休を使い切ることができない可能性がある |
・引継ぎや入社時期の調整が難航することがある |
年収ダウンを見越した生活設計を考える
厳しい現実ですが、未経験分野への転職を考える30代にとって、年収アップを望むのは難しいことが多いでしょう。
なぜなら、年収は年齢にふさわしい経験とスキルに依存するため、それを持たない30代に高い対価を支払うことは考えにくく、まずは経験を積むことが優先されるからです。
そのため、年収が下がる可能性を念頭に、許容範囲を事前に決めておくと良いでしょう。
加えて、収入減少を見越して生活水準の見直しを行うこともおすすめします。
退職に関する就業規則を事前に確認する
退職をスムーズに進めるためには、会社の就業規則をしっかり確認しておくことが重要です。
特に、退職の申告タイミングや引継ぎ期間、最終出勤日などが明確に定められている場合、計画的に進めることでトラブルを回避することができます。
せっかく内定をもらえたのに、入社時期の折り合いがつかず内定取り消しなどのリスクが生じることもあるため、就業規則は必ず事前に確認しておきましょう。
30代未経験者でも転職しやすい仕事

30代で未経験分野に挑戦する場合、これまでの社会人経験やポータブルスキルが大きな強みになります。
特に、求人数が多く、未経験でも受け入れられやすい職種を選ぶことで、スムーズに新しいキャリアを築くことができるでしょう。
以下では、30代未経験者が転職しやすいとされる職種を、それぞれの理由とともにご紹介します。
ホテル業界

ホテル業界は慢性的な人材不足が続いているため、未経験者でも受け入れられやすい業界と言えるでしょう。
基本的にシフト制で、部署によっては夜勤もあるため、柔軟なシフト対応が求められます。
また、接客業務が多いため、コミュニケーション能力が重要視されるでしょう。
30代の転職者は、社会人経験が評価されやすく、丁寧なサービスやお客様対応力を活かせる点から、未経験でも採用されやすい傾向にあると言えます。
事務

事務職は、パソコンの基本操作やビジネスマナーがあれば、未経験者でも挑戦しやすい職種です。
特に30代の社会人経験があると、業務の効率化やタスク管理のスキルが評価され、即戦力として期待されやすいでしょう。
また、事務職では円滑な業務遂行のために、チームや他部署との情報共有が欠かせません。
そのため、日々の報告や連絡、相談(報・連・相)が求められる場面も多く、コミュニケーション力も重要視される業務と言えます。
営業職

営業職は、特別なスキルがなくても挑戦しやすい職種の一つです。
30代の転職者であれば、社会人経験を通じて培った信頼性や責任感が評価されやすいでしょう。
また、未経験であってもコミュニケーション力や、相手と交渉しながら問題解決を目指す折衝力を活かし、会社や商品への理解を深めることで成果を上げやすい職種といえます。
介護職

介護職は慢性的な人手不足が続いており、未経験者にも挑戦しやすい職種です。
利用者に寄り添う姿勢や柔軟な対応力が求められるため、30代の転職者にも適しているといえます。
無資格・未経験で入社できる場合も多く、働きながら資格を取得できるので、30代からスキルアップを目指す方におすすめです。
さらに、資格取得にかかる費用を企業が負担してくれるケースも多く、安心してキャリアを積んでいける環境が整っています。
ドライバー

ドライバー職も未経験者を積極的に受け入れる業界です。
特に30代の転職者は、社会人経験を通じて身につけた責任感や仕事に対する真摯な姿勢が評価されやすいでしょう。
運転免許があれば始められる職種が多く、タクシーや配達ドライバーなど接客を伴う職種では、社会人としての対応力や丁寧なサービスも強みとして活かせます。
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製造業

製造業は、技術職としてのキャリアを未経験から築きやすく、30代でも転職しやすい職種のひとつです。
特に製造現場では、コツコツとした作業を続ける根気や正確さが求められるため、30代の慎重さや社会人経験が評価されやすいでしょう。
未経験でも比較的入りやすい職業をもっと知りたい方へ
厚生労働省では、未経験でも比較的入りやすい職業をサイト内で紹介しています。
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30代未経験者の転職は『求人ジャーナル転職エージェント』が全力サポート!

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30代の未経験分野への転職は周到な計画と準備がカギ
30代で未経験分野に転職することは、年齢や経験不足から不安に感じる方も多いかもしれません。
しかし、必要な準備を整え、具体的な計画を立てることで、新たなキャリアへの挑戦は十分に可能となります。
まずは、自分の強みや目指すキャリアを整理し、それに沿った転職活動を進めていきましょう。
転職は、自分の可能性を広げ、新たなステージへ進むための重要なステップです。
このガイドが、あなたのキャリアの選択肢を広げる一助となることを心より願います。
最後に、初めての転職にはさまざまな不安がつきものです。
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- 厚生労働省『令和4年雇用動向調査結果の概要』
- 厚生労働省『令和2年転職者実態調査の概況』
- 厚生労働省『企業等の採用手法に関する調査研究報告書』
- 厚生労働省『職業情報提供サイトjobtag|ポータブルスキル見える化ツール』
- 厚生労働省『職業情報提供サイトjobtag|未経験でも比較的入りやすい職業』