「英語を使った仕事がしたい」「海外で働いてみたい」そんな思いから海外営業という仕事に関心を持つ人は少なくありません。
語学力を活かせるだけでなく、大きなビジネススケールで活躍できる可能性があるため、やりがいや成長を求める方に人気があります。
本記事では、海外営業という仕事の特徴から年収、向いている人のタイプ、転職のために必要な準備までわかりやすく解説します。
海外営業を目指すかどうかを判断するための第一歩として、ぜひ最後までお読みください。
海外営業とは?

海外営業とは、自社の商品やサービスを海外の企業や市場に向けて提案・販売する営業職です。
英語を中心とした語学力はもちろん、異なる文化や商習慣への理解と柔軟な対応力が求められます。
海外営業には、海外に駐在して現地で業務を行う「海外駐在型」と、日本国内からオンラインなどで営業活動を行う「国内勤務型」の2つの働き方があります。
海外駐在型の海外営業
海外にある自社の拠点で働き、現地のお客様と顔を合わせて商談をするのが、海外駐在型の海外営業です。
現地で販売代理店や取引先企業と直接やり取りしながら、新しい取引先の開拓や、既存の関係維持・調整などを行います。こうした関係づくりは、信頼を得るためにも対面での対応が重要になります。
そのほか、日本にある本社への進捗報告や、現地スタッフのサポートを担当することもあります。
生活の拠点が海外になるため、住まいや医療、子どもの教育など、日本とは違う環境に順応する姿勢も大切です。
国内勤務型の海外営業
日本にあるオフィスに勤務しながら海外のお客様とやり取りをするのが、国内勤務型の海外営業です。
やり取りは、メールや電話、Web会議などが中心です。直接会うことは少ないですが、海外のお客様にとっては企業の窓口となる重要な役割を担います。
業務には、見積書や契約書の作成、商品の納期や数量の調整、請求や入金の確認といった細かいやり取りも多く含まれます。
現地との連絡をスムーズに進めるために、社内の生産部門や物流部門、品質管理チームなどとの連携も欠かせません。
必要に応じて海外出張に出かけ、現地の企業と直接会って打ち合わせをすることもあります。出張がない場合でも、時差のある中でやり取りをするため、早朝や夜の対応が必要になることもあります。
活躍できる業界
海外営業は、さまざまな業界で活躍のチャンスがあります。
扱う商材や取引のスタイルによって仕事の内容も変わってくるため、どの業界で働くかをイメージすることはとても大切です。
業界 | 特徴と仕事内容 |
---|---|
商社 | 幅広い商品を海外に売る仕事。現地の取引先との交渉や仕入れ・販売の調整を行う。 |
メーカー(機械・自動車など) | 自社製品を海外へ提案・販売。製品の知識をもとに説明やフォローも担当する。 |
IT・ソフトウェア業界 | 海外企業にシステムやアプリを提案。導入後のサポートや操作説明も含まれる。 |
食品・日用品・化粧品業界 | 日本の商品を海外市場に広める仕事。文化や好みに合わせた売り方の工夫が必要。 |
物流・運輸業界 | 商品をスムーズに届けるための提案営業。輸送方法やスケジュールの調整が中心。 |
どの業界であっても、語学力はもちろん、取引先や社内の人と相談しながら物事を進める調整力が求められます。営業のスタイルや必要とされる知識は業界によって少しずつ違ってきます。
自分の興味や経験に合った業界を選ぶことが、長く活躍するための第一歩になります。
海外営業の年収

海外営業の年収は、企業規模や業界、勤務スタイル(国内勤務か駐在か)によって幅があります。
一般的な営業職と比べて語学力や国際対応力が求められるため、比較的高めの水準であることが特徴です。
平均年収の目安
求人ジャーナルネットのデータによると、営業職全体の平均年収は359.5万円程度が目安とされています。
海外営業は国内営業よりも年収が高い傾向にあり、30代で500〜600万円台を目指せるケースも多く、営業成果や語学力によってはさらに高年収も可能と言われています。
英語だけでなく中国語やスペイン語などの語学スキルを持っている人材は重宝されやすく、年収に反映されることもあります。
年収アップに影響する要素
年収が上がるかどうかは、次のような要素に大きく左右されます。
業界・企業規模
大手総合商社や海外展開しているメーカーは、全体的に給与が高めです。スタートアップや中小企業では実力重視・変動型の報酬体系もあります。
種類 | どんな企業か | 代表的な企業 |
---|---|---|
大手総合商社 | 幅広い商品や資源を世界中で取引・投資する企業。 | 三菱商事、三井物産、伊藤忠商事 |
海外展開しているメーカー | 自社製品を世界に向けて製造・販売する企業。 | トヨタ自動車、日立製作所、パナソニック |
営業実績・経験年数
海外営業では、営業実績や経験年数が年収に大きく影響することがあります。
実績に応じたインセンティブ制度(成果報酬)を取り入れている企業では、売上や契約件数などが評価対象となり、結果を出すことで年収アップが期待できます。
また、経験年数が長くなるほど担当する案件の規模や難易度が上がる傾向があり、それに伴って役職や基本給が上がるケースも多く見られます。
語学力・交渉力
実務でスムーズにやりとりできる語学力(TOEIC800点以上が目安)や、現地文化に応じた柔軟な交渉力も評価対象になります。
役職・マネジメント経験
海外拠点の管理職に昇進すると、部下のマネジメントや業績責任を担うようになり、管理手当や役職手当が支給されるケースが多くなります。
そのため、責任の重さに応じて年収が上がる傾向があります。
駐在手当
特に海外駐在の場合、基本給とは別に「駐在手当」が支給されるケースが一般的です。内容としては以下のようなものがあります
- 住宅補助(家賃全額または一部支給)
- 生活費補助(現地物価に応じた上乗せ支給)
- 教育手当(子どもの現地インターナショナルスクール費用など)
- 一時帰国費用の補助
- 危険地域に赴任する場合のハードシップ手当
これらの手当が支給されることで、同じ役職でも国内勤務より年収が高くなることが珍しくありません。
海外営業の業務内容

海外営業の仕事は、商品やサービスを海外のお客様に売ることが中心ですが、実際には商談以外にもたくさんの業務があります。
ここでは、主な業務を紹介します。
商談・提案・契約交渉
海外営業では、お客様と話し合いながら商品の魅力を伝えたり、価格や納期などの条件を決めたりします。
言葉や文化が違う中でやり取りをするので、相手の立場を考えながら話を進めることがとても大切です。
商談は、メールやWeb会議、電話、対面などさまざまな形で行われます。展示会に出展して新しいお客様に声をかけることもあります。
見積や納期調整などの調整業務
「商品を売る」だけでなく、実際に注文を受けてから納品するまでにもたくさんの仕事があります。
たとえば
- 商品の価格や条件を書いた見積書をつくる
- 出荷日や納期をお客様と調整する
- 発送のスケジュールを社内と共有する
- 請求書の発行や、入金の確認をする
こうした細かなやり取りを正確に、ていねいに進めることが信頼につながります。
海外営業に向いている人

海外営業には、語学力や知識だけでなく「どんな考え方で仕事に向き合えるか」も大切です。
ここでは、実際に海外営業として活躍している人に多い考え方や性格の特徴をご紹介します。
人とのやり取りが好きで、相手の立場で考えられる人
文化や言葉の違いがある中で仕事を進めるには、相手を思いやる気持ちがとても大切です。
お客様の言葉に耳を傾け「どうしたら伝わるかな」「どんなことを求めているのかな」と考えながら話せる人は、信頼されやすくなります。
変化を前向きに楽しめる人
海外との仕事では予定の変更や想定外のトラブルが起きることもよくあります。
そんなとき「大変だけど、どう乗り越えようかな」と前向きに考えられる人は、海外営業の仕事にぴったりです。
自分から行動し、周囲と協力できる人
海外営業は、ひとりで完結する仕事ではありません。
お客様とやり取りをするだけでなく、社内の関係者と情報を共有したり、協力したりする場面もたくさんあります。
自分から進んで動き、周りと協力しながら仕事を進められる人は自然と成果を出しやすくなります。
異なる価値観を受け入れられる人
国によって考え方や商習慣が違うのは当たり前です。
それを「面倒だな」と思うのではなく「おもしろい」「勉強になる」と受け止められる人は、海外での仕事に向いています。
海外営業のやりがい

海外営業は、文化も言葉も違う相手とやり取りをしながら信頼を築き、ビジネスにつなげていく仕事です。
苦労する場面もありますが、そのぶん大きなやりがいを感じられる瞬間もたくさんあります。
異文化の中で成果を出せる達成感
はじめは英語でのやり取りに自信がなかったとしても、経験を重ねるなかで少しずつ対応に慣れていきます。
自分のプレゼンが契約につながったときには、相手にしっかり伝わったという実感とともに、大きな達成感を得ることができるでしょう。
言葉や文化の壁を超えて成果を出せたときの喜びは、国内営業では味わえない特別な経験です。
自分の強みを活かして働ける
海外営業は「語学が好き」「外国の文化に興味がある」といった自分の関心や得意なことを、そのまま仕事に活かしやすい職種です。
たとえば、英語だけでなく他の言語(中国語やスペイン語など)に強みがある人であれば、そのスキルを活かして特定の国や地域を担当することもあります。
また、異文化に対する理解や柔軟な考え方ができる人は、お客様との信頼関係を築くうえで大きな武器になります。
社内でも海外案件を任せられる人材として期待されることが多く「自分の強みを活かして働けている」と実感しやすい仕事です。
ビジネスの視野が広がる成長実感
海外営業の仕事では、日々さまざまな知識や対応力が求められます。たとえば、英語でのやり取りに加えて貿易や物流のしくみ、契約条件、各国の文化や商習慣など、幅広い内容を扱います。
最初は戸惑うこともありますが、実際の業務を通して少しずつ知識が増え「前は苦手だったことが自然とできるようになっている」と感じる場面が増えていきます。
海外営業は実務を通してスキルや知識を高めていける、成長を感じやすい環境です。
価値のある製品を世界に届ける貢献感
海外営業の仕事は、単に「モノを売る」ことにとどまりません。
自社の商品やサービスを通じて、その先にいる現地の人々の暮らしや仕事を支えることにもつながっています。
たとえば、日本の高品質な機械や商品が現地で導入されることで安全性が高まったり、生活の質が向上することもあります。
目の前のお客様だけでなく、その先にいる利用者や社会全体に貢献できる実感が持てるのも、海外営業という仕事の大きなやりがいのひとつです。
海外営業の大変なこと

海外営業はやりがいのある仕事ですが、海外とやり取りをするからこそ大変なこともあります。
多くの人が直面しやすい代表的な課題を4つご紹介します。
出張や時差の影響で生活リズムが乱れやすい
海外のお客様とやり取りをする関係上、出張や早朝・深夜の対応が必要になることがあります。
とくにアメリカやヨーロッパなど、時差が大きい地域と連絡を取るときは、日本時間で夜や朝方に会議が入ることも珍しくありません。
また、海外出張が多い職場では、長時間の移動や不規則な生活が続くことによる疲れを感じやすい人もいます。
文化や価値観の違いで意思疎通が難しい
国が違えば、仕事の進め方やビジネスマナーも大きく異なります。
「約束した納期が守られない」「返事がいつまでも来ない」といったことも珍しくありません。
日本の常識が通じないことに最初は戸惑う人もいますが、違いを理解し、どう伝えればうまくいくかを工夫することが大切です。
トラブル対応では高い判断力と責任感が求められる
納期の遅れや品質に関するクレーム、書類の不備など、海外との取引ではトラブルが発生することもあります。その際、まず最初に連絡を受けるのは営業担当である自分自身です。
自分だけで判断せず、社内の関係部署と連携しながら解決を目指す力が求められます。責任も重い仕事ですが、落ち着いて対応できるようになると信頼にもつながります。
業界によって異なる営業スタイルが求められる
海外営業は、働く業界によって仕事の進め方が少しずつ異なります。
たとえば、以下のような違いがあります。
- メーカーでは、自社製品の仕組みを説明することが多く、技術の知識が求められる
- 商社では、取り扱う商品が多いため、スピード感と提案力が重視される
- IT業界では、システムの導入や使い方の説明など、サポート的な役割も多くなる
どの業界でもお客様の立場になって考え、わかりやすく説明する力が大切です。
海外営業になるには?

海外営業は語学力や専門知識が求められる仕事ですが、これまでに法人営業の経験がある方や、英語を使った業務に携わってきた方であれば、これまでのスキルを活かしてチャレンジすることも十分に可能です。
たとえば、国内営業で培った提案力や調整力は、海外のお客様との信頼関係づくりにも役立ちます。
まだ英語が得意でなくても、「これから学ぶ意欲があること」や「営業経験・業界知識」などを評価して採用されるケースもあります。
求められるスキルと知識
海外営業では、以下のような力が求められます。
スキル・知識の種類 | 内容 |
---|---|
語学力(とくに英語) | 日常会話以上の英語力が必要。TOEIC700〜800点が目安。実際は「スムーズにやり取りできるか」が重視される。 |
貿易や契約の基礎知識 | 輸出入に関する書類や手続き、国ごとの商習慣などを理解しておくと安心。 |
社内外とのやり取りの力 | 社内の製造・物流・技術部門との連携や、お客様との調整など多くの人と関わる力が求められる。 |
これらのスキルは、実際の業務の中で身につけていくこともできます。まずは基礎的な部分から学び、少しずつ経験を積んでいくことが大切です。
有利になる資格や経験
以下のような資格や経験があると、採用時にプラス評価されることがあります。
- TOEICや英検などの語学系資格
- 貿易実務検定、通関士など貿易関連の資格
- 法人営業や提案営業の経験(国内でも可)
- 留学やワーキングホリデーなど海外生活の経験
とくに営業経験がある方は、「語学力を伸ばせばすぐに海外営業に挑戦できる可能性」もあります。
未経験から目指すためのステップ
未経験から海外営業を目指す場合、次のようなステップが考えられます。
- まずは国内営業で経験を積む
営業職としての土台をつくり、ビジネスマナーや提案力を身につけましょう。 - 語学力を少しずつ伸ばす
TOEICスコアや英語でのやり取りの経験を積むことで、応募できる求人の幅が広がります。 - 貿易関連の基礎を学ぶ
通信講座や書籍などで、輸出入の流れや必要な書類について学んでおくと安心です。
海外営業に関するよくある質問(Q&A)

海外営業に興味を持つ方から多く寄せられる質問をまとめました。
- 英語ができれば海外営業になれますか?
-
語学力は大きな強みですが、それだけで海外営業が務まるわけではありません。
重要なのは、相手の要望を正確に理解し、自社の提案を明確に伝える「実務レベルの対応力」です。
TOEICのスコアは一つの目安になりますが、実際の業務では「相手とスムーズにやり取りできるか」が重視されます。
英語力が不足していても、他の経験や意欲によって評価されるケースもあります。
- 駐在と出張の違いは?
-
駐在は海外の拠点で長期間勤務し、現地の業務に深く関わるスタイルです。数年単位の赴任となり、生活の拠点も現地に移すことになります。
一方で出張は、日本の本社や拠点に所属しながら、必要に応じて短期間だけ海外へ赴く働き方です。滞在は数日から数週間が中心で、頻度は業務内容によって異なります。
- 未経験でも採用されますか?
-
未経験から海外営業を目指すことは可能です。
特に法人営業の経験や英語を使った実務経験がある方は、即戦力として評価されやすい傾向にあります。
また、企業によっては「語学力はこれから伸ばせればOK」といったポテンシャル採用を行っている場合もあります。
未経験可の求人もあるため、まずは自分の経験がどのように活かせるかを整理し、情報収集から始めてみるのが有効です。
海外営業への転職を考えている方へ

海外営業は、語学力や国際的な視野を活かして働けるやりがいの大きい仕事です。
一方で、文化の違いなどの難しさと向き合う場面もあります。事前に仕事内容や働き方を理解したうえで、自分に合った環境を選ぶことが重要です。
「やってみたい」という気持ちがあれば、次の一歩を踏み出すチャンスです。まずは求人情報をチェックしてみましょう。
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