海外とのやりとりに関わり、語学力や専門スキルを活かせる仕事が「貿易事務」です。事務職の中でも専門性が高く、「一度スキルを身につければ長く働ける」と注目が集まっています。
一方で「未経験でもできるの?」「英語ができないと無理?」「仕事がきついのでは?」といった不安の声も少なくありません。求人情報に「未経験歓迎」と書かれていても、実は高度なスキルが必要なのでは……と迷う方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、貿易事務の仕事内容や年収、向いている人の特徴、取得しておきたい資格などを、初心者の方にも分かりやすく丁寧に解説していきます。
「安定した仕事に就きたい」「専門職にステップアップしたい」と考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。

- 立教大学大学院にてブランドマーケティングの講座担当
- 名誉きき酒師、著作多数(70冊以上)
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- 1987年 同志社大学卒
- 1987年 株式会社リクルート入社
- 入社から6年間営業成績で1位となる
- 事業開発・新規投資役員、メディア編集長などを歴任
- 経済産業省とベンチャー支援に取り組む
- ネットビジネスへの転換でYahoo!との連携を行う
- リクルートキャリア役員兼務
- 2005年 株式会社セレブレイン代表取締役社長就任
- 人事戦略コンサルティング事業の代表
- M&AやPMIが専門、毎年100社以上のコンサルティング
- 経済サイト等への執筆多数
貿易事務とは?

貿易事務とは、商社・メーカー・フォワーダー(国際物流会社)など、輸出入に関わる企業で活躍する事務職です。
国際的なビジネスを支えるポジションとして、海外との書類のやり取りや通関手続きのサポート、納期調整など、貿易に関わる幅広い業務を担います。
ここからは、一般事務との違いや未経験からの始め方、どのような企業で活躍できるのかなど、貿易事務について詳しく解説していきます。
一般事務との違いは「語学」と「貿易知識」
貿易事務は、一般的な事務職と比べて専門性が高く、国際的な物流・通関業務に関わる仕事です。
大きな違いは、英語を使う頻度の高さと、貿易のルールや貿易書類に精通している点といえます。
日常的に英語のメールを送ったり、インボイス(送り状)やパッキングリスト(梱包明細)などの貿易書類を作成するため、語学力と貿易の基礎知識が欠かせません。
誰でも最初は未経験!働きながら専門知識を身につける
貿易事務の業務には、貿易書類の作成や英語でのやりとりが含まれるため、一定の知識やスキルが求められます。
とはいえ、最初からすべての知識を備えている必要はありません。
実務経験を前提としない「アシスタント業務」からスタートできる求人や、「未経験可」の求人もあります。
こうした求人では、書類の確認や入力作業などの比較的かんたんな業務から始め、実務を通じて徐々に専門知識を身につけていくことが可能です。
英語力についても、定型文や翻訳ツールを活用しながら対応しているケースも多く「ある程度の読み書きができる」「英語に抵抗がない」というレベルからでもスタートすることができます。
仕事に困らない“専門職”として注目される理由
グローバル化が進む現代において、貿易業務に関わる人材の需要は高まっています。専門職として安定して働きやすいのも大きな魅力です。
特に、貿易書類の作成や通関手配などは、専門的な知識が求められる業務であり、簡単に自動化できるものではありません。
取引先とのやり取りには語学力やビジネスマナーも必要とされるため、経験を積んだ人材は企業にとって貴重な戦力として高く評価されます。
一度知識とスキルを身につければ、貿易に関わるあらゆる企業で活かせるため「職場が変わっても活躍しやすい」「ブランクがあっても再就職しやすい」といった強みもあります。
こうした背景から、貿易事務は「安定性」と「専門性」を兼ね備えた職種として注目されており、長く働きたい方やキャリアを築きたい方にとって非常に魅力的な職種と言えるでしょう。
貿易事務が活躍する場所
貿易事務は、輸出入に関わるさまざまな企業で必要とされています。ここでは、代表的な就職先についてご紹介します。
商社
商社は、世界中の企業をつなぎ、商品や原材料の取引を仲介しています。貿易事務はその中で、海外との契約を支える重要なポジションを担っています。
取扱品目が多岐にわたるため、幅広い業務に触れられるのが特徴です。
メーカー
メーカーでは、自社製品の輸出や、海外からの部品・原材料の輸入などに貿易事務が関わります。製造や品質管理といった社内の他部門とも連携しながら、製品がスムーズに国内外へ流れるよう支える役割を果たします。
フォワーダー(国際物流会社)
フォワーダーは、国際輸送や通関の手配を専門とする物流のプロフェッショナル企業です。
貿易事務は、取引先の輸出入企業に依頼されたモノが「予定通り・トラブルなく」届くために、流れ全体を支えています。貿易実務に特化した知識を深めたい方にはぴったりの職場です。
小売・アパレル・食品などの輸入企業
海外から商品を仕入れて国内で販売する企業でも、貿易事務の役割は欠かせません。
アパレル・食品・雑貨など消費者に身近な商品を扱うため、グローバルなビジネスをより身近に感じながら働けるのが特徴です。
貿易事務の平均月収・年収

事務全体の給与について、当社「求人ジャーナルネット給与サーチ 事務・オフィスワーク 平均月給・平均時給の給与データ 」に基づいて紹介します。
事務全体の給与
- 平均月収:22.0万円
- 平均年収:333.1万円
※月収は、賞与などを含まない金額です。
※年収は、平均月収をもとに賞与等を加味して算出しております。
※2025年12月31日時点の金額です。
貿易事務の収入は、事務職の中でやや高めの水準に位置すると言えます。一般的な事務職の平均月収が21.5万円であるのに対し、貿易事務では月収25万円前後からスタートする求人も多く、経験やスキル次第では30万円を超えるケースもあります。
その理由のひとつが、語学力や貿易に関する専門知識が求められる点です。未経験からスタートする場合は比較的低めの年収からのスタートになることが多いですが、経験を積むごとに年収が上がっていく傾向があります。
年収が上がりやすいケースとは?
以下に紹介するようなケースでは、貿易事務としての年収が上がりやすい傾向があります。
語学力が高い(特に英語)
TOEICスコアが高かったり、英語でのメールのやりとりや電話応対がスムーズにできる場合は、即戦力として評価され、給与水準も高くなる場合が多いでしょう。英語のスキルに応じて手当がつく企業もあります。
大手企業・専門性の高い企業に勤務している
グローバル展開している大手商社やメーカー、外資系企業、または国際物流の大手企業に勤務している場合、初任給や昇給幅が比較的高めに設定されているケースが多く、年収も上がりやすくなります。
通関士の資格を取得している
通関士資格は国家資格で、企業によっては資格手当や昇進の条件となる場合もあります。通関業務を行うポジションへの転職では、待遇交渉においても有利です。
通関士の資格については、以下の記事に詳しい説明がありますので、気になる方は参考にしてください。

実務経験が豊富
輸出・輸入の両方に関わった経験や複数国との取引経験などがあると、転職市場でも高く評価されやすく、年収交渉もしやすくなります。
貿易事務の業務内容

貿易事務の仕事は、就職先によって役割に違いがあるのが特徴です。
たとえば、商社では輸出入の取引全体を統括する業務が中心となり、メーカーでは生産部門や在庫の調整業務も行います。
ここでは、どの職場でも共通して求められる代表的な業務を4つに整理してご紹介します。
1. 輸出入に必要な書類作成
貿易取引では、インボイス(請求書)やパッキングリスト(梱包明細)、B/L(船荷証券)などの書類を作成します。
これらは税関手続きや貨物の引き渡し、支払い処理などに欠かせないため、書類の不備は大きなトラブルにつながりかねません。細かな内容までチェックし、ミスのないよう慎重に作成します。
2. 海外との連絡と調整業務
仕入先や販売先が海外である場合、英語を使ったメールのやりとりや、納期の確認・調整、商品の仕様確認など、国境を越えたやりとりが日常的に発生します。
就職先によっては電話やビデオ会議でコミュニケーションをとるケースもあり、語学力だけでなく相手の文化やビジネスマナーを理解する力も大切です。
3. 通関・物流に関する手配(フォワーダーとのやりとり)
貨物の輸出入には、通関(税関の手続き)や輸送手配が必要です。フォワーダー(国際物流会社)や通関業者と連携して、船や飛行機のスケジュール調整、配送先の確認、税関に提出する書類の準備などを進めます。
スケジュールに遅れが出ると、取引先への納品が間に合わないこともあるため、スピーディかつ正確な対応力が求められます。
4. 社内関係部署との連携・納期管理
貿易事務は、社外とのやりとりだけでなく、社内の営業部門・生産部門・経理部門などとの調整も欠かせません。
出荷日や納品日を確認しながら、在庫や生産スケジュールをすり合わせるなど、全体の流れを把握して動く必要があります。
部門を横断したコミュニケーションが多いため、調整力が活かされる作業です。
貿易事務に向いている人

ここでは、貿易事務の仕事に向いている人の特徴を4つご紹介します。
正確な作業が得意な人
貿易事務では、書類のミスひとつが輸出入全体のトラブルにつながることもあるでしょう。
数字・日付・品名・数量など、細かい情報を正しく扱う必要があり、作業を正確に進められる人に向いています。
英語や異文化に興味がある人
海外とのメールや電話でのやりとりが発生するため、英語を使う機会が多い仕事です。
高度な英語力がなくても、調べながら対応できれば問題ありません。語学に抵抗がないこと、異なる文化や価値観を楽しめる姿勢がある人に向いています。
幅広い専門知識を身につけてキャリアを広げたい人
貿易事務では、物流・通関・商流・法律・為替など、さまざまな分野の知識が業務に関わってきます。
学ぶことは多いですが、経験を積むごとに「自分の市場価値」が高まっていくのも魅力のひとつです。
専門職として長く働きたい方や、通関士などへのキャリアアップを目指す方には、ぴったりの職種です。
人とのコミュニケーションが苦にならない人
貿易事務は、社内の営業や生産部門、社外のフォワーダーや通関業者など、多くの人と連携して仕事を進めるポジションといえます。
調整や連絡事項が多いため、コミュニケーションを億劫に感じない人、相手の立場を理解して丁寧にやり取りできる人には向いています。
貿易事務のメリットとやりがい

貿易事務は、国際取引を支える専門的なポジションとして日々成長できるやりがいのある仕事です。ここでは、貿易事務ならではのメリットや魅力をご紹介します。
英語が実務レベルで使える仕事
貿易事務では、海外の取引先と英語でやりとりする機会が日常的にあります。メールの読み書きが中心で、会社によっては電話対応が必要な場面もあります。
実際のビジネスの現場で使う英語を身につけたい方には、ぴったりの環境といえるでしょう。
働きながら専門知識が身につく
最初は「貿易って何から始めればいいの?」という状態でも大丈夫です。
多くの企業ではOJT(実務を通じた研修)やマニュアル、先輩のサポートが整っており、働きながら少しずつ知識を身につけていけます。税関手続き、物流、為替、契約など、他の事務職では得られない専門スキルを習得できるのが大きな魅力です。
通関士などへのキャリアアップも目指せる
貿易事務として経験を積む中で、より専門的なキャリアを目指すことも可能です。
たとえば、国家資格である「通関士」は、貿易・物流の知識を活かしてスキルアップを図る代表的な道です。通関業者だけでなく商社やフォワーダーでも活躍できるため、将来性・安定性のあるキャリア形成が期待できます。
貿易事務に役立つスキル・おすすめの資格

貿易事務は専門性の高い仕事ですが、未経験からでもチャレンジが可能です。実務に役立つスキルや資格を身につけておくことで、採用率アップや入社後のスムーズな業務習得にもつながります。
ここでは、貿易事務を目指す方にとって有利に働くスキルと資格をご紹介します。
英語力
貿易事務では、海外とのやりとりが発生するため英語の読み書きが基本的なスキルです。特に、メール対応・書類作成・仕様確認などで英文を扱う機会が多くなります。
【TOEICスコアの目安】
- 600点以上あれば実務でも十分活かせるレベルとされ、求人票でも基準として挙げられることが多いです。
- 会話力よりも、読み書きスキル(リーディング・ライティング)を重視する企業が中心です。
スコアが満たない場合でも、英文メールの作成や辞書を使った調査が苦でなければ、実務をこなすことは可能です。
PC操作スキル
貿易事務では、Excelやメールソフト、社内システムの操作が日常業務の一部です。とくに以下のスキルがあるとスムーズに仕事を進められます。
- Excelの基本操作(関数・表作成・フィルタなど)
- ビジネスメールの作成
- データ入力の正確性とスピード
「事務職の基本」として求められるレベルで十分なので、PC初心者の方でも独学や講座で習得が可能です。
取得すると有利な資格
貿易の実務に直結する資格を取得しておくと、未経験でも採用されやすくなります。ここでは、貿易事務の分野で特に評価される資格をご紹介します。
貿易実務検定(B級・C級)
貿易実務検定は、貿易の流れや専門用語、実務で必要な知識を体系的に学べる民間資格です。
試験はC級・B級・A級に分かれており、C級は未経験者や初心者向けの基礎編として多くの方が初めに目指す級です。
貿易書類の種類、輸出入の流れ、インコタームズ(国際取引のルール)などを学べるため、これから貿易業界に挑戦したい人にはぴったりの内容となっています。
B級は実務経験者向けの応用編で、現場での業務経験をもとに理解を深めたい方におすすめです。いずれの級も独学での対策が可能で、資格取得を通して「貿易事務への意欲」や「基本知識の保有」をアピールできます。
「未経験だけど本気で貿易の仕事を始めたい」という方は、まずC級からチャレンジしてみるとよいでしょう。
通関士(国家資格)
通関士は、輸出入時に必要な通関手続きを専門的に行う、国家資格に基づいたプロフェッショナルです。税関に提出する書類の確認や作成、法律の知識など、輸出入全体の流れを把握して正しく処理する力が求められます。
この資格を取得すると、特にフォワーダー(国際物流企業)や通関業者での活躍が広がるほか、商社やメーカーでも通関業務に携わる重要な人材として重宝されます。
難易度はやや高めですが、その分、資格取得後の専門性や市場価値は非常に高く、貿易分野でのキャリアを長期的に築いていきたい方にとって大きな武器となるでしょう。貿易事務として経験を積んでから、次のステップとして通関士を目指す人も多くいます。
この資格は、実務経験を積んでからのほうが勉強しやすく、貿易事務として働きながら取得する人が多数派です。未経験者でも挑戦は可能ですが、学習内容が専門的なため、通信講座やスクールの活用が合格への近道となるでしょう。
貿易事務は未経験からでも挑戦できる

貿易事務は専門性の高い業務が含まれるため、経験者が歓迎されやすい職種であるのは事実です。
しかし、今活躍している人たちも最初は未経験からのスタートでした。
実際の求人を見ると「未経験可」「貿易事務アシスタント」といったポジションもあり、働きながら少しずつ専門知識を身につけていける職場もあります。先輩社員のフォロー体制がある企業では、基礎から実務を学ぶことが可能です。
貿易事務は一度スキルを身につければ、長く安定して働ける「専門職」として、キャリアの土台になる仕事です。英語力や業界知識を深めていくことで、将来的にキャリアアップや転職の幅も広がります。
「興味はあるけれど、経験がないから不安」という方は、未経験歓迎の求人からスタートしてみるのがおすすめです。
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